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第一章 プリンシプルを持った組織に
 戦後の日本。アメリカ軍の占領下にある日本において、GHQから「従順ならざる唯一の日本人」と言われた人物がいます。名を白洲次郎といい、時の外務大臣吉田茂からの懇請で、GHQと折衝を担当する機関である終戦連絡中央事務局の次長に就任した人物です。当時の日本の政治家や経済人が、おしなべて占領軍に媚び諂うなか、白洲は、「日本は戦争に負けたが、奴隷になったわけではない。言うべきこと言わなければならない。」と公言し、占領下の日本にあって、GHQに対し、卑屈になることもなく、対等に渡り合ったのです。
 白洲次郎が発表した文章のなかに、「プリンシプル」という言葉が出てきます。この「プリンシプル」という言葉について、白洲は、これを何と訳して良いか知らないがと前置きしつつ、「原則とでもいうのか」と表現しています。そして、すべての言動にプリンシプルがはっきりしていなければならないとも説いています。
 現在の日本は、国際社会でも重要な役割を担うまでになっていますが、どれだけの日本人が白洲のようにプリンシプルを持った行動ができているのか、占領下の日本でプリンシプルを貫いた白洲の話を聞くとそんな疑問が湧いてきます。直近2回の衆議院議員選挙では、いずれも一政党の大勝という結果となりましたが、どちらの選挙にしても、勝利した政党の主張がそこまで受け入れられたと感じることはできません。「プリンシプル」を持った行動ができない雰囲気に流されるだけの国民がまだまだたくさんいるのだと思います。
 福井JCにいる私たちはどうでしょうか。私たちもまだまだではないでしょうか。福井JCとして、そこに所属するメンバーとして、行動にプリンシプルを持つということは組織を確固たるものにしてくれるはずです。そして、福井JCはもっと誇れるものになるに違いありません。
第二章 今の福井JCに必要なこと
 1962年に創立された福井JCはまもなく創立50年を迎えます。この節目にあわせるようにして、私たちのような社団法人には、大きな制度改革の波が押し寄せてきました。組織としての節目を迎え、そして、社会の要請から次代の福井JCのあるべき姿を検討する必要があるのです。
 この検討にあたって、私たちは、「修練」「奉仕」「友情」というJC三信条を絶対に忘れてはなりません。これまで福井JCは、このふくいという地域社会のために様々な活動をしてきました。その活動のさなかにあって、地域社会への「奉仕」とともに、会員同士の「友情」、そして自らの「修練」も併せて大切にしてきたのです。JCという組織にとって、三信条は生命線でもあり、JC運動のプリンシプルでもあるのです。
 公益的な活動をしなければならない、それが社会の要請である、新制度施行に伴う組織改革にあたって、そんな強迫観念に駆られ、もがき苦しむ姿も見受けられますが、活動の根本にあるこの三信条を忘れずにいれば、何も苦しむ必要はないのです。地域社会への「奉仕」という公益的な活動と「友情」、「修練」という共益的な活動のバランスを保ちつつ、あるべき組織を構築していくべきなのです。学舎としてのJCと地域社会の要請に応えるJCの両立を目指さなければなりません。
 福井JCには、創始以来築き上げられてきた歴史があり、入会と卒業を繰り返しながら未来へと続く組織でもあります。過去から引き継がれたこの組織を、現在の私たちが引き継ぎ、そして、未来へとまた引き継いでいかなければならないのです。現在の福井JCがどのような活動をするか、あるいはどのような組織にするか、それは私たちに委ねられている問題です。しかし、だからといって、私たちの考えだけで決めるべき問題ではないのです。その結論は、想像力を働かせ、これまでの福井JCの歴史を築き上げてこられた先輩の考えとも合致するのか、そして、まだ見ぬ将来のメンバーと共有することができるのか、これらを判断したうえで決めるべきものなのです。これができなければ、現在の福井JCは、創始以来の福井JCから、あるいは未来の福井JCからあのころの福井JCは、別の組織であると断じられてしまうかもしれません。私たちの活動には、過去や未来の組織との結合が不可欠なことを決して忘れてはなりません。
 2009年には、福井JCのシニアクラブの組織改革が行われ、シニアクラブとの新しい関係が始まろうとしています。シニアクラブは、私たちに有効な助言をいただけるとともに、ときには最大の支援者として私たちの活動に協力をしていただける大切な存在です。組織改革元年、そして、創立50周年が間近に迫った2010年がその最大のチャンスです。この機会に、我々の活動にシニアクラブにも関心を持ってもらい、ときには一緒に事業を実施できるような関係を作り上げましょう。
 人は変われど終わりなき組織、それが福井JCです。もし、終わりがあるとすれば、世界中のすべての人々が、人種、信条、性別、社会的身分、門地に関わりなく、平和のなかで、精神的にも経済的にも豊かさを享受でき、自分は幸せだと皆が胸を張って言えるようなそんな「明るい豊かな社会」が実現されたときでしょう。しかし、その実現は簡単なことではなく、JCの活動が必要となくなる時代は未だ想定しがたいのが現実なのです。今、私たちが、この福井JCに所属し、その活動に参画することができるのは、創立以来,途絶えることのなく会員交代を繰り返し、組織を存続させることができたからに他なりません。JCという学舎で成長を遂げ、ここを巣立つとき、自らの成長を自己満足とし、次代の若者からこの学舎を奪ってしまっても良いのでしょうか。そんなことはありません。私たちが、この福井JCに所属して享受したことは、次代にまで残さなければなりません。リーダーの学舎としてふさわしい規模と質を備えた組織を存続させることは、私たちの責務そのものなのです。規模を維持するために必要なことは、仲間を増やすことであり、質を維持するために必要なことは、多くのメンバーが有機的に活動するための組織運営を維持していくことにあります。
 今、ここで、学舎としてのJCと地域社会の要請に応えるJCの両立、世代を超えた組織の構築、リーダーの学舎としてふさわしい規模と質を備えた組織体制づくりの三つのことを述べましたが、これが福井JCの2010年の活動の基軸となるものです。
第三章 リーダーの学舎としてのJC
 JCの活動への参画に対し、積極的に見返りを求めるべきではありません。しかし、JC活動への参画ほど自らの成長を促すことができるものは他にはなかなか見あたりません。
 福井JCは、百数十名の構成員から成る組織です。経営者たる者は、企業という組織を運営するにあたり、個人の感覚ではなく、組織の感覚を身に付けなければなりません。「私はこう思う。」ではなく、「この組織にとっては、こうすべきである。」という判断基準で物事を判断する必要があるのです。個人の感覚と組織の感覚は、ときとして相反し、誤って個人の感覚を優先してしまえば、組織を危うくさせることもあります。また、組織は人の集まりです。人は感情を持ち、感情により行動を決します。上命下服が徹底されていない限り、人の感情を動かさなければ、人は動きません。組織とは、その感情を伝播させる集合体であるべきなのです。経営者として企業を大きくしようとすれば、それだけ多くのステイクホルダーを抱えることとなります。そのような人々の理解を得つつ企業活動を遂行することは大変なことであり、経営者としてなくてはならないスキルの一つであるといって良いでしょう。JCは、このようなスキルを獲得する最高の場の一つであるといえます。
 また、JCは、地域社会における問題を把握し、その解決方法を探ります。地域社会における最も深刻な問題は、採算ベースに乗せられないため、営利法人の参入が期待できず、財政面、組織面で縮小化傾向にある行政も手をさしのべることのできなくなる分野にあるはずです。このような分野における課題に対しては、知恵を絞り出し、限られた資金を有効に活用しながら、解決方法を探っていくことになります。JCは、他の団体に比べれば、これをなし得る優位性を持つ組織です。すなわち、私たちは、日ごろは経営者として、あるいは企業における重要な役職を担うものとして、常に地域社会や地域経済とふれ合っています。だからこそ、地域社会の課題にアンテナを張ることも、これを適確に把握することもできます。また、様々な業種の集合体であるがゆえに、それぞれのノウハウや英知を結集することで、思いもよらぬ発想で事業を構築するポテンシャルを秘めているのです。JCに所属するということは、これに参画する機会が与えられていることであり、その経験そのものが、企業にとっては何物にも代え難い財産となるはずです。時々刻々とニーズの変化する現代社会において、このような財産は、企業をして、時代に合わせた事業展開を可能せしめ、何十年、何百年にもわたる企業の存続に寄与することになるはずです。
 そんな学舎としてのJCが、より学舎として機能するためには、メンバーが自らの質を高め、その結果活動の質が高まるという相乗効果をあげていく必要があります。活動の質を確保するためには、活動をJCのメンバーだけで完結させるのではなく、社会や市民を意識しなければなりません。社会や市民から高い評価を受けることが、自らの活動へのやり甲斐へと繋がるものですし、何よりも多くの市民の意見を取り入れることが、活動の厚みや、メンバーの人間としての幅を持たせることに繋がるからです。近年の福井JCは、他人を恐れがちです。そのため、活動を自己完結してしまったり、市民との交流を疎かにしてしまったりしています。他人を恐れることなく、市民とふれ合うためには、自らの経済活動だけではなく、日ごろから、他人の経済活動、この国や地域の文化、伝統といった日本国民あるいは福井市民の根底にある価値観を形成するものにふれ合う機会を多く持ち、もっと自分たちに自信を持たせるべきです。
第四章 人こそが地域に必要とされる時代
 近年、マスコミ報道などを見ても地方自治体の首長が登場する機会が増えてきたと感じます。著名人が首長に就任していることにその一因があるのかもしれませんが、何よりも地方の施策が注目されつつあり、また地方の発言力が以前にも増して大きくなっていることにその根本的な理由があると思います。
 かつての日本の理想的な地方都市像を想像してみてください。在来線に並行して新幹線が走り、郊外には高速道路のインターチェンジと大きなバイパス国道、その周辺には大型商業施設、まるで金太郎アメのように似たような地方都市が全国に作られていきました。首長は、その実施に必要な資金を獲得するため、ときには中央へと足を運び、理想の都市像を実現するために奔走していました。しかし、今やこの国にはそんな余裕はありません。国と地方自治体の長期債務残高は955兆円、国民一人あたりに換算すると754万円に上ります。国は、もはや打ち出の小槌ではなくなりました。国が、財政的にあてにはできなくなると、地方自治体は独自の施策を打ち出すようになり、かつて以上に注目されるようになったのです。だからといって、地方自治体が裕福というわけでもありません。三位一体の改革により地方交付税が減額された地方自治体は、財政状況の悪化に苦しんでいるのが実情です。今、この国で頼りになるのは、そこに住んでいる人の力であり、その知恵しかないのです。そんななかで知恵を振り絞り、独自の施策を打ち出してくる首長に焦点が集まるようになったのです。
 これからの地方には、そんな人の力や知恵、それを実行に移す実行力のある者が必要です。リーダーの学舎としての福井JCは、メンバーが地域のリーダーとなるよう力を注ぐべきでしょう。国や地方のリーダーとなる人たちは、生まれながらに特殊な技能を習得していたり、特殊な環境で育った人たちばかりではなく、普通の家庭に生まれ、普通の家庭で育った人も大勢いるはずです。重要なことは、特別な技能や環境なのではなく、たまたまあるきっかけで、国のため、地域のため、社会のために何かをしなければならないと一念発起し、それを行動に移すことができるかどうか、ただそれだけのことなのです。可能性はすべての人にあるはずです。この地域にも、きっかけに恵まれ頑張っている人やその可能性を秘めている人は大勢います。地域のリーダーとなろうとする私たちにとっては、そのような人は見習うべき存在であり、自分たちのためにも、このような人材を知っておくべきでしょう。
 そして、人が必要とされるこれからの時代にあって、何よりも必要なことは、このような人材を地域に向けて発信していくことです。なぜなら、これからの時代に頼るべきは、人であり、その力であり、知恵だからです。この地域にとって、リーダーとしてお手本となるような人材を発掘し、地域にとって価値ある存在として褒め称え、その可能性を秘めた潜在的リーダーを育て上げるためにも、JC内外のリーダーを発掘していきましょう。
第五章 地域社会の要請に応える組織として
 地域社会の要請に応える組織として福井JCが行うべき活動の中心に位置づけられるのは、まちづくりの事業であり、青少年事業です。幸いなことに、私たちには、既にこれらの事業を展開した実績があり、経験があります。これらは貴重な財産であり、この財産を継承していかなければなりません。最も大切なことは、これまでの事業をただ表面的に真似るのではなく、これまでの事業がなぜ作り出されたのか、この事業におけるこれまでの到達点は何であったのかということを検証した上で、これまでの到達点を2010年度に展開する事業の出発点として、発展させていくことなのです。これらの事業は、一年では目に見える成果が簡単には現れてきません。だからといって、これを免罪符としていては、何十年たっても成果とはならないのです。継続事業で重要なことは、一年一年でその年の成果を検証し、翌年の発展へと繋げること、そして、一年では目に見えないにしても、何年か経った後に振り返ると、過去とは違う何かが現れているという確たる成果を残していくことにあります。
 かつての日本の理想的な地方都市像はどれも類似し、似たような地方都市が全国に作られていきました。その地域独特の景観や伝統よりも機能性が優先され、まちづくりにはその地域の独自性が徐々に失われていったのです。その対極に位置するのが、おそらくヨーロッパの街並みでしょう。彼らは、景観や伝統、文化を重んじ、厳しいところでは、建物の高さ、壁の色、窓の大きさなどありとあらゆる所まで規制し、都市としての景観や伝統を守ろうとしています。その結果、現代にあっても、まちにアイデンティティがあり、市民は何かしらの誇りを持っているのです。日本という国は、都市形成にあたり、機能性を優先するとともに、不動産に対する所有権を保障しなければならないという意識を強くしてきたため、日本中の都市が、機能性には優れているものの一体感のないものとなってしまいました。そこに住む住民に共通する都市のアイデンティティが失われてしまったのです。これからの時代は、新しい何かを作って都市の価値を維持しようとするのではなく、これまで備えてきた機能性を維持しながら、市民が「これこそがわがまち」と言えるような都市を整備していかなければなりません。
 福井市の総面積は536.17平方キロメートルと広く、そのすべてを市民が共感を持てるようなものとすることはなかなか難しいでしょう。しかし、ある地域をシンボリックなものとしていくことは不可能ではないでしょう。近年、福井JCは、中心市街地に着目をし、秋まつりを開催したり、福井駅周辺の再開発について意見を述べるなどしてきました。郊外に人の集まる大型商業施設があるなか、なぜ中心市街地なのか、そのような疑問を呈するメンバーもいました。これに対する答えは、簡単な話であり、この地域は、近年になって開発された郊外にはない歴史があり、多様な交通手段を持ち合わせているため、様々な人が集うことができる地域だからです。歴史という時間的な幅と様々な人が集える多様性、これが他の地域に比べて、都市のシンボルとしてふさわしい理由であるといえるでしょう。このような理由から、中心市街地というこのまちのシンボリックな存在となる地域がどうあるべきかという点について、組織として明確な意思を持ち、これに相応しい地域となる仕掛け作りとしての事業を展開する必要があります。
 福井JCが、構成員が変わっても終わりなき組織であること、そのことは福井JCに所属し、活動をすることで自ずと理解できることです。皆さんの会社も株主や社員、経営者が変わっても、組織は継続していきます。まちも同様です。いくら現代のまちの担い手が頑張っても、次代に承継できなければまちは衰退してしまいます。
 これまでも福井JCは、地域の担い手づくりプログラムや日下部太郎顕彰事業など青少年育成の事業を展開してきましたが、これも偏に、確実に次の世代にこのまちを担ってもらいたいという思いからくるものでした。青少年育成事業の原点は、次代のまちの担い手づくりにあります。近年の福井JCの青少年育成事業を見ると、この原点をやや忘れているのではないかと感じられることがあります。福井県は、学力テスト、体力テストの結果がいずれも全国でも上位に名を連ねる県です。その意味で、教育行政は成功をしているのでしょう。人が大切にされる時代にあって、このような子どもたちは、このまちにとって大切な財産であるはずです。しかし、全国的な現象ではあるものの地方から都会への人口流出は止むことがありません。せっかくの子どもたちが、その活躍の場を都会に求めているわけです。行政レベルでは成功している教育ですが、今後は、このような子どもたちが、どうしたらこの地域を支える担い手になるのかを考えて事業展開をする必要があるでしょう。福井JCは、すでにそのためのツールを持っています。ここで重要なのは、単に事業を実施したことで、子どもたちとふれあったとか、子どもたちの活き活きした顔を見ることができたということで満足するのではなく、数十年後に、この地域を担う人たちが、「あのときの福井JCの事業に参加したから、今私は福井にいるのです。」と言ってもらえるよう、一年一年、着実に成果を残すことなのです。
第六章 2010年度の活動を展開する組織
 それでは、これらの活動を展開する2010年度の福井JCの組織について述べたいと思います。2010年度の福井JCは、各二委員会が属する三室と一会議体で組織を構成します。

<次代の組織創造会議>
 次代の組織創造会議は、これからの福井JCの組織のあり方についての検討の中心となる会議体であり、次代の組織のための新しい仲間づくりを担う会議体です。次代の組織のあり方というと、新公益法人制度改革への対応を想起しがちですが、これに限られるわけではありません。第二章で述べた学舎としてのJCと地域社会の要請に応えるJCの両立、世代を超えた組織の構築、リーダーの学舎としてふさわしい規模と質を備えた組織体制づくりの三つを基軸として検討をしなければなりません。これら三つを基軸として、次代の組織のあり方を検討するとともに、これらを基軸とした会員拡大活動を実施していただきたいと思います。

<JCの組織力向上室>
 JCの組織力向上室は、「総務委員会」と「ひとの力向上委員会」で構成されます。総務委員会は、百数十名で構成される組織の要となる委員会です。会員数は減少したとしても百数十名というメンバー数は決して少なくない数です。これだけの人数のメンバーが有機的に結合し、組織的な活動を行うということは簡単なことではありません。福井JCが、組織的な活動をすべく、組織運営において、取りまとめをする委員会となります。メンバーが組織の感覚を実感できるよう、リーダーの学舎としてふさわしい規模と質を備えた組織となるよう組織固めをしていただきたいと思います、また、ひとの力向上委員会は、リーダー育成を担う委員会です。リーダー育成の視点は二点です。すなわち、第三章で述べたリーダーの学舎の実践、第四章で述べた地域から求められる人材への注目です。前者は、福井JCに所属するメンバーが、地域のリーダーとなるべく会員の研修を実施するという共助事業ですが、後者は、メンバーのみならず、地域の人々をも巻き込み、リーダーとして範となる人材を発掘し、この地域の人々の誰もが、この地域のリーダーとなりうる可能性を秘めた存在であることを自覚できるよう事業展開をしていただきたいと思います。

<次代の担い手育成室>
 次代の担い手育成室は、「次代の担い手育成委員会」と「会員開発委員会」で構成されます。次代の担い手育成委員会は、これまで培ってきた福井JCの青少年事業を着実に展開してもらう委員会です。この委員会にとって重要な視点は、第五章で述べたとおり確実に次の世代にこのまちを担ってもらうためにはどうしたらよいのかということです。地域の担い手づくりプログラムにしても、四つのプログラムがあることには意味があります。日下部太郎顕彰事業にしても、他にも郷土の偉人はいくらでもいるにもかかわらず、あえて日下部太郎を取り上げることには意味があります。その答えは、子どもたちに確実に次代のまちを担ってもらいたいという原点にあり、この原点に立ち戻った事業展開をお願いしたいと思います。会員開発委員会は、新入会員を受け入れる委員会です。福井JCが、リーダーの学舎としての相応しい組織となったとしても、入会当初は違和感があったり、組織になじめない新入会員も少なくありません。JCが、「修練」「奉仕」「友情」という三信条に基づき活動をする組織であること、一見理解しがたいJCの持つ一つ一つのルールが、実はリーダーの学舎としてのプログラムであることを新入会員に理解してもらえるようにしていただきたいと思います。

<次代のまち創造室>
 次代のまち創造室は、「政策発信委員会」と「まちづくり検証委員会」で構成されます。第五章で述べたように、福井JCが、中心市街地を中心として事業を行うことには意味があります。政策発信委員会は、中心市街地に着目する福井JCが、なぜ中心市街地なのかに始まり、福井JCが定義する中心市街地は何か、そして、この地域がどうあるべきかという福井JCのまちづくりに対する明確な考えを策定する委員会となります。また、この策定には、福井JC以外の考え方を取り入れる必要があるでしょう。市民、行政、他団体など広く交流を持たなければなりません。そのため、対外的な広報についてもこの委員会が担っていただき、様々な交流の基礎としていただきたいと思います。まちづくり検証委員会は、秋まつりを中心とした政策発信委員会の取りまとめに対する実践、検証のための委員会です。同室内の両委員会が連携を取り、これを実践する事業を実施していただきたいと思います。秋まつりにしても他の事業にしても、ただイベントを行うことだけでは意味がありません。事業のなかで検証すべき問題を明確にし、そのうえで事業を実施していただきたいと思います。
第七章 故郷と呼べるからこそ
 天災、人災関わらず、この地が壊滅的な打撃を受け、仕事どころじゃない、衣食住もままならない、そんな出来事に巻き込まれたら、みなさんはどうしますか。こんなところに居られないと、この地を後にするでしょうか。それとも、この地にとどまり、復興に力を注ぐでしょうか。多くの皆さんは後者を選択するはずです。この地は、多くの皆さんにとって、生まれ育った故郷であり、強い地縁で結ばれているからです。
 しかし、皆さんの子どもまで、この地で暮らしていくことができる保障はどこにもありません。時代の変化に対応できず、地方が衰退していったときには、もはやこの地が生活の本拠とするに値しない地域になっているのかもしれません。非現実的な話かと思うかもしれませんが、これから進行していくであろう縮む社会への対応が十分にできなければ、いつかは現実となる時期が来るでしょう。日々その日が迫ってきていることは、どこかの国が、日本に向けてミサイルを発射することよりよほど現実的な話なのです。これを避けるためには、2010年のこの年に何ができるのかを考え、それをしなければならないのです。
 「百年に一度の経済危機」。誰もが口にし、誰もが知っている言葉です。この言葉が示すように、現在の経済状況が大変厳しいものであることは否定できません。しかし、この言葉は、プライマリーバランスを崩してまで行う行政の財政出動、突然行われる整理解雇や期間労働者の雇い止めなどありとあらゆることを正当化する免罪符のように利用されているところもあるような気がします。JCではどうでしょうか。自らの経済的基盤を維持することを最優先すべきであり、その維持とは無関係なJC活動は後回しにすべきと堂々と論じる根拠として利用されていないでしょうか。
 「こんな時代にJCをやっている場合か?」そんな問いかけをする前に、この2010年に何をすべきかを考えてみましょう。私たちは、地域のリーダーにならんとして、この組織に所属しています。リーダーが見るべきは、目の前の一年ではありません。何十年か先を見据えた上で今やらねばならないことをするのが本当のリーダーです。会社の経営者層にいる多くの皆さんに、そんなことを言うのは釈迦に説法かもしれません。しかし、会社を一歩離れ、地域のリーダーとなったとき、同じように語れるのが本当のリーダーのはずです。これからの時代の行く末がどうなるかは誰にも分かりません。しかし、どれだけ社会が混迷を深め、見通しが分からない状況であっても、その先を明るく照らし、地域や会社を導くために皆さんは今ここにいるのではありませんか?福井JCという組織は、そういう人たちの集まりであると私は信じています。40歳までの限られた時間の中で、このまちのことを考え、このまちのために活動し、自らの感覚だけではなく、世の中の人と共感の得られるような感覚を身に付け、そして感情の伝播により他人と活動を共有できる真のリーダーとなりましょう。