事業のご案内

理事長所信

正面突破の覚悟
~共に創る「これから」が「これまで」を決める!~

                     公益社団法人福井青年会議所 2022年度
                            第62代 理事長 方橋 孝貴

はじめに
2019年に端を発した新型コロナウイルス感染症の拡がりは、全世界に甚大な被害を
もたらし、今なお終息の目途が立っていません。所得や雇用の減少、経済悪化という連鎖を
引き起こした結果、日本の国家予算に相当する経済損失がこれまでに生まれているとも言
われています。福井県内においても企業倒産数、廃業数が増えています。将来に対する希望
が急速に失われていく時代、漠然とした大きな不安が世の中を包んでいます。しかし私は、
これまで混沌の中に未知の可能性を見出してきた青年会議所だからこそ、できることがあ
ると思えてなりません。「コロナが明けたら」と世の中は言いますが、果たして、何もせず
に「明ける」ことはあるのでしょうか。ワクチンさえ打てば、世の中は明るくなるのでしょ
うか。未来が、今日から続く延長線上にあるのならば、受動的な考えは今すぐ捨て、今から
行動しなければなりません。希望をもたらす変革の起点は我々にあります。いつの時代も、
世の中に新しい価値を生み出し、地域の光となり切り拓いてきたのは、我々青年なのです。
逆境、困難、未来を恐れず正面突破していくマインドを、我々がふくいに伝播させ、関わる
方をモチベートしていかなければなりません。今こそ、「JC」です。
ふくいの再興のために
本年度、特にこだわりを持ちたいワードとして、「経済効果」を掲げます。非接触を優先
するがあまり、多くのイベントや試みが中止、もしくは延期をせざるを得ませんでした。そ
こで出た経済損失は前述の通りです。人やモノの往来で発生する経済活動で世界は成り立
っていると考えると、新型コロナウイルス感染症によるダメージで疲弊したふくいに活力
をもたらすには、まず、経済効果の高い運動が必要です。我々の運動もビジネスも、従前の
やり方に対して疑問を持たずに続けていては、今後も地域の回復は見込まれないでしょう。
これまでを踏まえた上で、新しい価値を生み出す力が今こそ必要だと考えます。そこで我々
は本年度、世の中の状況に適応した方法で経済効果を高める事業を行います。広く効果が生
まれるように、その事業に伴う経済波及効果にも着目して実施いたします。また、一過性の
経済効果ではなく、2024年の北陸新幹線延伸や、中部縦貫自動車道の完成を見据えた持
続的な事業構築も必要です。

また、インターネットを使った新たなサービスは世の中に登場しているにもかかわらず、
うまく使える事業者が少ない現状もあります。我々の事業を通じて、参加者が最新のツール
を使える状態になることや、関わった方々のマインドを「やってみよう」と変えることも、
事業実施において重要なことと捉えます。人と人との物理的な距離を保たなくてはならな
い現在、今まで行ってきた事業に経済の視点を加えた事業の展開にトライします。そして、
我々の取り組みがモデルケースとなり、全国に波及していくことを目指します。
一方で、これからを担う子供達の育成も必要不可欠です。そのためには、まず我々大人が
夢を語り、希望を持たなければなりません。「でも、だって、どうせ」と言う大人の姿を見
て、子供達が将来に希望を持てるでしょうか。今日から続く未来は今の大人が作ります。
我々会員も含め、このような状況においても、高い志を立て、夢を抱き、前向きに生きるマ
インドを持った人財の発掘、育成を行って参ります。
同時に、子供達の社会を生き抜く力を育むことも大切です。ボタン1つで連絡を絶つこと
のできるツール、何度でもリセットできるゲーム、面と向かって話す機会の減少、子供達を
取り巻く今の世の中は、便利さと引き換えに失ってしまったものもあります。テクノロジー
がどんなに発達したとしても、人間が主体である以上、社会を生き抜くうえで必要とされる
力は本質的には不変であると考えます。
そして、人類が新型コロナウイルスの抗体を獲得した後、考えられるのはインバウンドの
復活です。国際化と謳われ久しいですが、これがさらに進み、旅行客の増加だけでなく定住
化が進むボーダレスな社会が予想されています。しかしながら、今のふくいはハード面だけ
でなくソフト面においても、外国人の方に対して寄り添えている状態であるとは言えませ
ん。言葉や習慣が異なる外国人の方でも、安心して過ごせるふくいであるべきです。そのよ
うな中、現在福井青年会議所は国際アカデミーの主管を目指しています。国際アカデミーは
国内外の地域のこれからを担う人財が集まる機会であり、同時にふくいのファンを増やす
絶好の機会ですが、その受け皿としての準備ができているでしょうか。この機会の効果を最
大化させるためにも、ふくい市民の国際への意識をさらに高め、ボーダレスな社会に対応で
きる素地をつくる必要があると考えます。
会員一人ひとりの心の機微に寄り添う運営を
福井青年会議所の運動を支えるのは運営です。「当たり前」を常に求められる運営を継続
的に行えるかどうかで福井青年会議所の運動が決まります。運営はよく扇の要と言われま
すが、その扇が大きく開くかどうかは要の締め加減で変わります。創立60周年を迎えた本
年度、周年を経験している会員が少ない中、全会員が一丸となっていくためには、会員一人
ひとりの心の機微に寄り添う、誰一人として取り残さない運営が必要不可欠です。今一度

「会員の心得」に立ち戻り、血の通ったコミュニケーションを取ることで組織の一体感につ
なげます。会員一人ひとりの不安や疑問を先回りして解消していく運営を心掛けていかね
ばなりません。今や当たり前のようになった、オンラインツールに頼り切ったコミュニケー
ションでは、新たに物事を生み出すことは不向きであると言われています。常に新しい価値
を生み出していく我々は、ツールに頼り切っていないか、人と人とのコミュニケーションが
組織内で十分に行われているか、その仕組みがあるか、気を配らなければなりません。運営
が生み出す活気や熱量が、福井青年会議所の勢いを作ります。
また、事業への出席に関して、「動員がかかる」と言われることがあります。動員とは、
何らかの目的のために物資や人員が集中することを指しますが、実際には自分の意思とは
別に仕方なく参加するという意味合いで使われています。そもそも、青年会議所活動におい
て参加は自分のために行うものではありません。そこで得た経験や知識を持ち帰り他者に
役立てるため、そしてそこに関わっている仲間のために行うのです。ではなぜ動員という言
葉が出て、仕方なく参加する雰囲気が生まれるのか、それは事業や大会の意義や、関わって
いる人等、その背景を十分に運営側が知らないからです。どのような学びが得られるかは、
参加した本人しかわかりませんが、どのような意義や目的のもとに開催され、どのような人
が関わっているかは調べて伝えることができます。単なる事業案内ではなく、本質を捉えた
案内を行うことで対外事業や各種大会の出席率の向上に努めて参ります。
そして、公益法人に移行してはや10年が経とうとしています。その間、遊休財産保有制
限額や公益事業比率等に関する議論は毎年のように行われています。10年前、公益法人を
選択された先輩方が描いた未来に、果たして我々はいるのでしょうか。「公益か、一般か」
そのような話題が出ますが、偏った考えに捉われた議論はすべきではありません。先輩方が
10年前に望まなかった疑念が今、会員内にあるのであれば、今一度福井青年会議所がどの
ような経緯で生まれ、何を成し遂げてきたのかを学び、公益法人を選択した歴史や、組織と
しての存在意義を我々は知らなければなりません。そして、事業を大きく展開していくため
に、全会員が今の福井青年会議所に自信と誇りを持たなければならないのです。
さらに、急速に変化する社会にあわせて組織内のルールの見直しも必要です。会の根本と
なる定款、諸規程を毎年見直す必要性があるかどうかの議論はありますが、ルールが無いた
めに運用で対応していることや、時代にそぐわないルールがあることで対応が制限されて
しまうということが現状としてあります。多様性を積極的に受け入れる世の中になりつつ
ある今、組織としての質を保ちながら、世間の流れに合わせて活動できる柔軟さを我々は模
索しなければなりません。
創立60周年を契機として

1962年11月17日に生まれた福井青年会議所は、「青年会議所を設立すれば、何か
変化がある、このふくいのために」という創始の精神をもとに、59年間、ふくいを想う様々
な事業を行って参りました。その間に得た多くのつながりのおかげで、今の我々があります。
創立60周年記念式典は、これまでの福井青年会議所をお支えいただいた方々へ感謝の意
をお伝えすると同時に、これからを共に歩んでいく方々から期待を寄せていただくための
絶好の機会です。自分も何かやってみようと勇気づけることが出来るような、1ミリにこだ
わった質の高い式典を開催いたします。ステークホルダーの皆様から得られる期待値とい
う観点でも、組織内に残る会員の経験値の観点でも、今後の福井青年会議所の歩みが素晴ら
しいものになるかどうかは、本式典にかかっています。全会員が不撓の想いで創立60周年
記念式典を成功させなければなりません。そして、そこに創り出したあらゆる修練の機会を、
我々の成長の糧にして参りましょう。
また、本年度は「ひとづくりの先進地」を目指したAction Plan from 2
012を終える年でもあり、次のステージに向け新たなビジョンを再設定する起点の年で
もあります。これからふくいはどのような地域であるべきなのか、そのためにはどのような
行動が必要となるのか、今後も連携するパートナーの方針を十分に理解した上で議論を重
ね、新たなビジョンを策定いたします。連携、協働、コラボレーション等と言われて久しい
ですが、大きな運動を起こすには他団体とのつながりが必須です。そのためにも、新ビジョ
ンは我々の視点だけを是としたものではなく、様々な角度から考えて策定しなければなり
ません。我々がパートナーとして相応しい団体でなければならないという視点も忘れては
ならないのです。我々の強みは、何者にも縛られない自由と若さ、そして会員間の友情に裏
打ちされた団結力にあります。そこに「他者から学ぶ」という謙虚さが加わることで、唯一
無二の団体になると考えます。
ストーリー性のある広報を
福井青年会議所の運動の効果を最大化させるには、広報の力が必要不可欠です。スマート
デバイスの普及率はこの5年間で倍増しています。世代的に見ると我々子育て世代の普及
率はほぼ100%です。様々な情報に簡単に触れられ、個人の可処分時間の取り合いと言わ
れる現在、発信だけでは最大の効果は見込めません。人を惹きつけるには、個人の短い可処
分時間を獲得していくことが大切です。しかしながら、近年の福井青年会議所の広報活動を
見ますと、予告と報告の単発的な発信しかしておらず、単なる情報となってしまっています。
そのため、見る人の心に残り、「そういえば」と後に気にしていただくような仕掛けのある
広報を、戦略的に行わなければなりません。そこで本年度は、「ストーリー性のある広報」
をキーワードに、市民を惹きつける広報活動を行って参ります。世の中にある発信ツールを
もう一度見直し、心に残り大きな関心を生む効果的な発信方法を模索し、実行します。
5
また、個人が発信力を持つ現在、会員一人ひとりの発信力の強化も必要です。会員の発信
力を高めることは、組織全体の影響力を高めることにつながります。しかしながら、運動に
ついて発信を自発的に行っている会員は少なく、情報発信においてはまだまだ運動になっ
ていないという現状があります。そこで、自らが広告塔となり、先駆けて発信することが当
たり前になる雰囲気づくりをし、そのうえで、効果的な手法を全会員が学ぶ機会を創出いた
します。発信力のある会員を育成することも、組織として大切なことだと考え実践して参り
ます。ただし、広報とは運動やストーリーを発信するものであり、決して団体名を発信する
ものではないということを忘れてはなりません。
真の全員拡大とインキュベーション
全員拡大と叫ばれて久しいですが、会員拡大は単年だけ力を入れて行っても最大の効果
は得られません。担当委員会、担当ラインだけでなく、歴代担当者が力を合わせることが、
全員拡大の礎となります。そのうえで、会員全員がそれぞれできることを行う、これが真の
全員拡大だと考えます。先輩方が築き上げてきた会員拡大の手法が福井青年会議所にはあ
りますが、知識は行動が伴って初めて意味を持つものです。その手法、知識を持ち、先輩方
のネットワークもフルに活かしながら愚直に実行できるひたむきさを持った会員拡大活動
を、本年度行って参ります。
ここ数年、退会者率は改善傾向にありますが、会員数が減少傾向にあるということは言う
までもありません。創立50周年を迎えた2012年度、年初の会員数は125名でした。
わずか10年足らずで約30%の会員が減少しています。しかしながら近年の組織改革の
結果、例会や事業の出席率が改善し、今の福井青年会議所会員の参画意識は高い状態にあり
ます。真の全員拡大を行うには絶好の機会だと考えます。一人ひとりのできることを、会員
拡大活動の経験者を中心に活動を展開することで活動が運動となり、福井JCシニアクラ
ブの先輩も巻き込んだ会員拡大が可能となります。
また、会員拡大活動は組織のための活動であると考えてしまい、数字を追いがちになって
しまいますが、福井青年会議所のための会員拡大活動ではないということだけは忘れては
なりません。青年会議所は単年度制で多くの役職・役割を用意している団体です。それは、
地域のリーダーを短期間に輩出するための仕組みです。その仕組みの中にできるだけ多く
の青年を迎え入れる事で、結果的に地域のリーダーを多数生み出せるのです。年間を通じた
会員拡大活動は、笑顔溢れるふくいのために行うものであることを忘れずに活動して参り
ます。そして、入会までの期間をフォローするだけでなく、入会後に新入会員が新たな環境
にうまく馴染めているかにも心を配って参ります。新入会員が福井青年会議所に定着して
始めて会員拡大活動が終了したと捉え、大胆、かつきめ細やかな活動を行って参ります。

そして、これからの福井青年会議所を担う会員の育成も大切な課題のひとつです。福井青
年会議所の門を叩く新入会員は皆、才能溢れる優秀な方々ばかりです。彼らはこれからのふ
くいを支える原石です。過去、福井青年会議所をご卒業された先輩方も、在籍期間において
蓄積した知識、スキル、人脈でその後大きく飛躍されご活躍されている方々が多くいらっし
ゃいます。そのような方々を、今後も輩出していくには、入会して間もない時期の会員の、
福井青年会議所への触れ方が大きく影響します。青年会議所活動において、会員一人ひとり
が持つべき大切な心構えが、「素直さ」です。自分を壷だと例えると、その壷口の大きさに
合ったものしか中に入りません。自分の価値観が構成された我々の年齢において、壷口を柔
らかく大きく拡げることは、簡単なことではないでしょう。入会間もない会員は、えてして
自分の価値観で判断してしまうことがあります。自分の考えも持ちながら、組織の考えも尊
重できる大人にならなければなりません。そうすることで、考えに幅や深みのある人財へと
成長できます。そのためには、自分のためだけの活動ではないことを理解しなければなりま
せん。
そこで、入会して同期の仲間達と過ごす期間に、青年会議所が重んじる利他の精神に触れ、
次の年へ大きくステップアップできる研修を行って参ります。そして、会員の平均在籍年数
が3年程度となっている現状から、入会2年目で理事になる会員が多く存在していますが、
2年目以降から自信を持って活動できるように、数値的根拠に基づく、背景を正確に捉えた
事業構築や合意形成の手法を学ぶ新入会員育成を行って参ります。
基本理念について
2022年度の基本理念は、「”全方よし”善きことを想い、善きことを行う」としてい
ます。これは「全方」、すなわち自らを取り囲む全ての方向に対して善い行動を起こして参
りましょうと言う意味です。人間、つい自分本位になったり、特定の誰かにのみ利があるよ
うに動いてしまったりするものです。しかし、それでは角ができ、偏った効果しか生まれま
せん。自分を中心点とする円、つまり自分を除く他者に気を配り、かかわる全ての方にとっ
て喜ばれる判断を会員全員で行って参りましょう。
そして、善い結果を得るためには、会員一人ひとりの考え方が非常に重要となります。結
果は、すべて考え方によって決まります。心から善いことを想い続けることで、自分自身の
行動が善い行動、他者に対する行動へとつながり、善い結果を生みます。すべては、”全方
よし”の考え方から始まるのです。
また、せっかく時間とお金を使って活動するのであれば、「修練」を活動する動機の軸に
持っていただきたいと考えます。青年会議所は、1年間で数多くの修練の機会を得られる団
体です。内なる基準を高く持ち、その理想の姿に近づくために修練を積み、社業や家庭、他

者に「何かひとつ持って帰る」という意識で一つひとつの機会に向き合う。創立60周年と
いう特別な年に、正面突破の覚悟を貫けた者には大きな成長が待っています。修練の場を求
め、変わらなければならない状況が生まれる前に変わる人にならなければなりません。
むすびに
「これまで」に起こった事実は誰にも変えることはできません。しかし、その事実の解釈
は「これから」が変えられるということを忘れてはいけません。例えば、過去に誰にも真似
のできない素晴らしい功績を上げた人でも、不誠実な行動ひとつで、その功績があった「の
に」という解釈になる。反対に、これまで散々な結果の繰り返しだったとしても、一度成功
を収めると、散々だった過去があった「からこそ」という解釈になります。どのような時も、
「これからがこれまでを決める」のです。
創立60周年を迎えるにあたり、これまでの歩みの重みを我々は引き継ぎます。38豪雪
の雪かきから始まり、県道の愛称命名運動、宝さがし運動、日下部太郎の発掘、全国会員大
会招致、ふくい秋の収穫祭、地域の担い手づくりプログラム、ちからプログラム…数々の
挑戦をし、ふくいを明るく豊かな地域とするため、ひたむきに59年間、福井青年会議所は
歩んで参りました。その「これまで」は、我々が共に創っていく「これから」によって、い
かようにも価値が変わります。時には、その責任の重さを知り、一歩踏み出すことに尻込み
してしまうこともあるでしょう。しかし、稚拙でもいい、未熟だと言われてもいい、失敗を
恐れずに思い切り行動して欲しい。なぜならば、たとえうまくいかないことがあったとして
も、そこから続く「これから」が、その事実に意味をもたらしてくれるからです。大切なこ
とは、ふくいの再興を願い、一人ひとりが前のめりになって懸命に行動することなのです。
未来に語り継がれるであろう混乱の真っ只中にある現在、私は皆に問いたい。一度しかな
い人生で、今、心躍ることに挑戦していますか。周囲にどのような姿を見せて生きています
か。我々の生き方が、ふくいの未来を創ります。ふくいと自らの可能性に真っ向から挑み、
輝く「これから」を共に創って参りましょう

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